海外コイン投資の落とし穴

弊社は、2000年頃から2015年まで米国稀少コインを取り扱っていた東京の某ディーラーの詐欺ビジネスを暴くために活動していた被害者の会が前身です。
所謂、アンティークコインブームが日本でも広まりつつある今、大切な資産を護るためには投資家自身が正しい知識・情報を身に付ける必要があると考え、被害者の会メンバーが2014年に執筆したレポートを一部加筆修正してご紹介したいと思います。6年前のものですが、現在でも充分役に立つ内容ですので、是非ご一読下さい。


UAEドバイにてマネジメントコンサルタンツ事務所を経営していた私は、2012年末にX氏からドバイ事務所を設立したいとの依頼を受けた。設立後現地法人の銀行口座を開設するためにUAEの銀行へ提出するX氏本人のパスポートコピーと会社のバランスシート・損益計算書等を求めたところ、突如音信不通となった。
その後再三の督促にも関わらずまったく音信が途絶え、X氏及び当該事業者はドバイ現地の事務所賃貸契約及び内装契約履行を放棄。数々の請求書は未払いのまま今日に至っている。
また、本社保養施設として、役員の個人名義で購入登記したドバイにある3つのマンションの購入資金元は会社であるため、その役員と会社の金銭消費貸借契約書を開示するか、当該3つのマンションを法人名義に変更するよう再三要請したがそれへの回答もない。
X氏と当該事業者がパスポートコピー・株主詳細・保有株数・バランスシー ト等をドバイの金融機関へ開示拒否した理由、ドバイ不動産名義を法人名義にしない理由、そしてそれらの要請直後から突然音信が途絶えドバイの活動を放棄した理由について文書回答を求めているが、いまだに回答はない。

この異常な状況を受け、X氏関連企業を調査していたところ、X氏の顧客数名から相談があり、X氏が米国コインとダイヤモンドを優良誤認表示のもと米国市場価格の5倍以上時には20倍以上乖離する価格で販売している事実 、そしてそれらコイン・ダイヤモンドの買取要請に対しX氏・関連企業が買取拒否をしている事実を知る。それら投資家達の投資評価損は 数億を超える莫大な金額であった。その後、それらは氷山の一角に過ぎないことを認識するに至る。

筆者は米国コインビジネスの研究を重ね、数回米国に渡り、コインとダイヤモンド専門家にヒアリングを実施し、米国コイン業界の主要専門家と会い、詳細に渡り調査分析、根拠の特定を行うに至った。
以下はその調査分析結果の一つ、コイン専門家達の見解である。

IAPN(国際プロフェッショナルコイン協会代表者)の意見

「AAA級(X氏が考案した独自のコイングレード)のような評価方法は過去に一度も聞いたことがなく、国際的に認知されていません。・・・この評価方法はコインの売値を釣り上げるために編み出されたものであり、その販売業者の取り扱いコインにのみ用いられているのではないか、というのが私の印象です」。

コインにおける最大のオークション会社ヘリテージ社の意見

「・・X氏の言われるような等級付け方法や鑑定が反映されたという例は過去に一度もありません。仮にそうしたことがあれば、コインの市場価格は現在よりはるかに上昇しているはずです。・・X氏が鑑定された PR65ウルトラカメオの価値はグレードが3ランク上の PR68 ウルトラカメオより2倍以上高いということになります。これほどの差が出るというのは単に現実味に欠けていると言えるでしょう」。

コイン鑑定会社最大手であるNGC社のアドバイス

「AAA級なるステッカーも等級も認識しておりません。またそれらはNGCガイド価格に影響を与えるものでもありません。AAA なる鑑定をする会社に鑑定保証書を発行するかどうか問い合わせてみてはいかがでしょうか」。

X氏の販売歴・コイン解説を見た米国コイン・デイーラーズ・ニュース(CDN) 社は 2014年5月、以下の記事を一面掲載した。

「・・・東京のある業者に騙されて高額な米国コインを相場の4倍か5倍、果ては10倍もの価格で購入してしまう例がアジアで頻発している。その業者は独自の格付け基準を用いているようだが、米国市場はその基準を認知していない。その業者の方法とは、従来の数字 による格付け評価を独自の基準で「B」「A」「AA」「AAA」と細かく格付けし、それをCAC社の鑑定シールと類似したシールに表示してPCGS社やNGC社の鑑定コインに貼付するというものだ。こうして AAA級と格付けされたコインには米国コイン市場における現在の市場価格の数倍の販売価格が付けられている」。

2014年6月上旬、X氏へ投資家達を代理して再度買取要請を行うも回答なし。 調査分析とX氏がブログで申告する年商30億円をベースにすると、過去14年間の潜在的被害額は数百億円に及ぶ可能性もある。

X氏及び当該事業者の法的社会的責任を問い、今後の投資家へ警鐘を鳴らし、 同時に過去の(そして潜在する)被害者救済の第一歩として今回のレポートを開示する判断に至った。同時にこのレポートが関連省庁による真相解明スタートの一助となれば幸いである。

(続く)

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