イギリス植民地時代のアメリカでは独自の貨幣を作ることが許されず、ヨーロッパ、特にスペインの貨幣が使用されていました。
そして独立戦争後、1792年に貨幣鋳造法が成立してようやく鋳造が開始されました。
当時の時代背景により、コインの大きさや材料は
結論から申し上げますと、将来どのコインが値上がりするかはコインディーラー・専門家を含め誰にも分かりません。
業者から「このコインは出遅れているからこれからどんどん上昇していく」みたいなセールストークを聞くことがありますが、1970年代から活発に取引されている米国コイン市場。安いコインは出遅れているからでなく、それ相応の理由があるからです。
米国コインにおいて価格を決定付けているのは、種類・年代・鑑定グレードです。
最近では、より細分化する研究(VAMなど)も行われていますが、基本はこの3つで決まります。
左がPCGS社、右がNGC社というコイン鑑定会社により鑑定されたコインです。
両社の鑑定コインには万一、贋作であった場合の補償があります。
また、ラベルにある67という数字は鑑定グレードで、コインの傷が少ないほど高い数字が得られます(取引価格が高くなる)。この数字と年代が分かれば鑑定会社のサイトでコインの市場価格が分かります。
緑色のCAC認証シールは、CAC社という別の鑑定会社が鑑定済コインを独自基準でチェックし、クリアしたものに貼付されます。PCGS、NGCの鑑定グレードが傷の多寡を重要視しているのに対し、CACのは見た目【Eye-Appeal】を重要視します(PCGS、NGCもある程度はEye-Appealを考慮しています)。
CAC認証を得られたコインは標準品より10〜30%程度高く取引されています。
ちなみに、米国コインの買取り依頼があると、アメリカのオークションハウスHeritageAucitons社へメールでオークション予想落札価格を照会することがありますが、こちらから伝えるのはラベルにある鑑定番号とCAC認証の有無のみで写真は送りません(鑑定番号でコインの種類・年代・グレードが分かる)。
つまり、種類・年代・鑑定グレードに比べて、コインの見た目【Eye-Appeal】は価格にさほど影響しないということなのです。
他のコインと比べて汚れが少なく美しいという理由で、標準より高い値段を付けたり将来の値上がりをほのめかすような業者のセールストークには十分注意する必要があります。
しかし、見た目といった主観的要素の影響が少ない点はプロではない一般の方にとっては寧ろメリットです。
特に鑑定済コインは贋作の心配もなく市場価格もネットで直ぐチェックできる訳ですから、絵画や骨董品などに比べれば格段に敷居の低い現物投資対象と言えます。