あなたのコインコレクションの中に偽物が混じっている可能性は残念ながらゼロではありません。寧ろ偽物に遭遇する確率は年々高まっています。
偽造コインの多くは本物のコインを模倣していますが、正しい金属や合金で作られておらず重さや直径も微妙に異なります。
しかし最近はタングステンを使用し、その上に薄いメッキを施された精巧な偽物がつくられています。重量も誤差が0.1グラム単位という精密さで高価な機器と知識がない限り、見分けることは困難です。
アメリカで偽造コインを故意に所持・購入・販売することは違法ですが、「COPY」という文字を入れたレプリカ品については許されています。アメリカで偽造コインの問題が顕在化したのは21世紀に入ってからで、主に中国を拠点とする製造業者が「COPY」の文字が入っていないレプリカコインやバーを製造していたことが問題となりました。
コイン製造技術にコンピューターやロボット、インターネットの技術が取り入れられたことにより、同じ設備を用意できれば偽造が容易に行われてしまう状況となってしまったのです。
2007年から2008年にかけてCoin World紙とNY Times紙が共同で偽造コインに関する調査を行いました。それによると中国には100以上の偽造コイン製造事業者が存在し、殆どは家内制手工業であるものの、中には月に10万枚以上の生産設備を持つ大規模な工場もあったそうです。
ここで製造された偽造コインは、中国のネットショッピングサイトなどを通じ全世界に広まっていきました。実際、アメリカのコインディーラーの40%以上が海外のコインを含め偽造品の買取依頼を経験しているそうです。
一般に偽造品というと高級ブランド品が対象で、コインに関しても希少価値のある高額なものしか存在しないと考える人がいるかもしれません。しかし、アメリカコインに関してはオールドコインを含めほぼ全ての種類の偽造品が存在します。偽造業者が大量に製造し薄利多売で利益を得ているためで、安いコインは割が合わないので偽物を作らないだろうという考えは改めた方が良いようです。
このような偽造コインを掴まされないようにするためには、信頼できるところから購入することに尽きます。ネットオークションで素性の分からない相手から購入することが非常にリスキーであることは言うまでもありません。