米国で最も人気のあるコインの一つ、$20 St.Gaudens金貨。その中でもハイリリーフタイプは、その鋳造の困難さで初年度の1907年のみ発行されました。
2020年9月18日開催のヘリテイジオークションに登場した1907 $20 HighRelief Wire Rim金貨の最大の特徴は、Proof69という100年以上前のコインでは通常有り得ない高いグレード。独特の光沢のある表面とシャープな細部のデザインが目を惹きつけます。
そして、$660,000(約7,000万円)という素晴らしい価格で落札されました。
このコインに関して一つ興味深いのは、PCGSとNGCの評価が全く異なるという点です。
NGCは今回出品されたコインをProof69と鑑定しているのに対し、PCGS鑑定のHighRelief Proof金貨は存在しません。
Proof仕様のHighRelief金貨は存在しないというのがPCGSのスタンスだからです。
HighRelief金貨は彫刻的な立体感のあるデザインにするため数回の打刻が加えられており、通常のコインとは鋳造方法が異なります。
一方、当時のHighRelief金貨の鋳造枚数は1万枚を超え、一般流通用コインとして扱われていたため、Proofと認定することに否定的な意見もあります。
もっとも、NGCは全てのHighReliefをProofと認定している訳でなく、特定のダイ(金型)を使用して初期に鋳造されたEye-Appealの優れたコインに限定しています。いずれにせよ、Proof69を獲得した今回のコインが究極のHighRelief金貨であることは、揺るぎない事実と言えるでしょう。